● 文学賞

2021年01月03日

2022年国際アンデルセン賞

少し前になりますが、2022年の国際アンデルセン賞の
候補者が発表になりましたね(

イタリアからは前回と同様、
作家はロベルト・ピウミーニが、
画家はベアトリーチェ・アレマーニャが候補になっています。

ピウミーニについては、こちらの記事で
アレマーニャについては、こちらの記事で紹介していますので
ご興味のある方はぜひご覧ください。

ピウミーニは、ユーモアのある楽しい作品から
死や社会問題を取り上げたシリアスなものまで、
また詩やわらべ歌から長編小説まで、
テーマもジャンルも幅広く手掛けている作家です。
創作意欲は衰えていないようで、2018年には
マーティン・ルーサー・キングが差別と闘う様子を
韻を踏んだ長編詩にした作品を発表しています。
HPを見ると、昨年も新刊を出しているようです。

イタリアで作家賞を受賞したのは、ロダーリだけです。
1970年の受賞ですから、かれこれ50年経っています。
そろそろ別の人が受賞してもいいのでは、
ピウミーニが受賞したらいいのにという気持ちです。

な~んて書きつつも、ロダーリが「イタリアで最初に、
かつ現在のところ唯一受賞した作家」で居続けてくれることを
望む気持ちもちょっとあるんですけどね 
ファン心理って怖いですね 

画家賞は2008年にロベルト・イノチェンティが受賞しています。
イノチェンティはアメリカで火がついて、
その後、イタリアでも認められたイラストレーターです。
アレマーニャはHPで受賞歴を見ると
フランスの賞を多く取っているようです。
彼女もイノチェンティのようになるのでしょうか。
勝手な推測ですが。

結果がどうなるのか、今から楽しみです。



a_yshtm at 15:07|PermalinkComments(0)

2020年05月07日

2020年度ストレーガ・ラガッツェ・エ・ラガッツィ賞受賞作

新型コロナウィルス感染拡大によって、開催が延期から
中止になった今年のボローニャのブックフェアですが、
いくつかのイベントは5月4日から7日にかけて
オンライン上で実施されました。

イベントの一つは、国際アンデルセン賞の受賞者の発表でした。
Twitterでつぶやいている方もいらっしゃいましたし
IBBYのサイトでもニュースが発表されましたので
結果をご存知の方もいらっしゃると思います。
受賞者は以下の通りです。

・作家賞:ジャクリーン・ウッドソンさん(アメリカ合衆国)
・画家賞:アルベルティーヌさん(スイス)

もう一つのイベントで、わたしがより関心を抱いていたのが
タイトルにもある今年度のストレーガ・
ラガッツェ・エ・ラガッツィ賞受賞作の発表でした。
受賞作は以下の通りです
(著者、タイトル(イタリック体)、出版社の順です)。

・+6のカテゴリー、つまり6~10歳向けの本のカテゴリーの受賞作

Marta Palazzesi(マルタ・パラッツェージ)、Nebbia、Il Castoro

・+10のカテゴリー、つまり11歳以上向けの本のカテゴリーの受賞作

Lynda Mullaly Hunt(リンダ・マラリー・ハント)、Una per i Murphy、Uovonero

amazonで書影を出せるかと思ったら出せませんでした 

マルタ・パラッツェージはイタリアの作家です。
受賞作は1880年のロンドンを舞台に、オオカミと少年の物語を通じて
自然、正義、自由を求める心について書かれた作品のようです。
(まだ読めていないので、いつか、イタリアから
 本を買えるようになったら読みたいと思います)

リンダ・マラリー・ハントはアメリカの作家です。
受賞作は、母親が入院しているため一時的に別の家族に
引き取られた少女の物語のようです。デビュー作みたいです。
(これもまだ読んでいません。いつか、
 これは日本語で読めたらいいな)
同作家の作品は、日本語では難読症の少女を主人公にした
『木の中の魚』(講談社)を読むことができます。


木の中の魚 (文学の扉)
リンダ.マラリー・ハント
講談社
2017-11-10



a_yshtm at 11:59|PermalinkComments(0)

2020年01月22日

2020年国際アンデルセン賞ショートリスト

1月20日に今年度の国際アンデルセン賞
ショートリストが発表されました。
34名の作家、36名の画家が
ノミネートされていたのが
それぞれ6名に絞られました。
(JBBYの記事はこちら

以下の方たちがショートリストに残りました。

作家
Bart Moeyaert (ベルギー)
Farhad Hassanzadeh (イラン)
Jacqueline Woodson (アメリカ合衆国)
Marie-Aude Murail (フランス)
Maria Cristina Ramos (アルゼンチン)
Peter Svetina (スロヴェニア)

画家
田島征三(日本)
Albertine (スイス)
Elena Ordiozola (スペイン)
Isabelle Arsenault (カナダ)
Iwona Chmielewska (ポーランド)
Sylvia Weve (オランダ)

日本からは田島征三さんが最終候補に残っていますね。

イタリアからノミネートされていた、
作家ロベルト・ピウミーニ()も
画家ベアトリーチェ・アレマーニャ()も
最終候補には残りませんでした。残念です

3月30日にボローニャのブックフェアで
受賞者が発表されるそうです。
誰が受賞するのか楽しみですね。


a_yshtm at 09:34|PermalinkComments(0)

2019年12月26日

2020年度ストレーガ・ラガッツェ・エ・ラガッツィ賞最終候補作品

12月4日(水)にローマで2020年度の
ストレーガ・ラガッツィ・エ・ラガッツェ賞の
最終候補作品が選出されました。

出版社から送られてきた79作品が
第一選考で24作品に絞られ、
そして、この度、最終候補として
+6のカテゴリー、つまり6~10歳向けの本のカテゴリー、
+11のカテゴリー、つまり11~15歳向けの本のカテゴリーで
それぞれ以下の5作品が選ばれました(

+6のカテゴリー
(作者、タイトル(イタリック体)、出版社です)

・Daniela Carucci(ダニエラ・カルッチ), Ruggiti, Sinos
・Timotée De Fombelle(ティモシー・ド・フォンベル),
 Capitano Rosalie, Mondadori

・Susie Morgenstern(スージー・モーゲンスタン),
 Vuoi essere mia amica?, Babalibri
・Marta Palazzesi(マルタ・パラッツェージ), Nebbia, Il Castoro
・Guido Quarzo(グイド・クァルツォ),
 Anna Vivarelli(アンナ・ヴィヴァレッリ),
 La danza delle rane, Editoriale Scienza

+11のカテゴリー
(作者、タイトル(イタリック体)、出版社です)
・Annelise Heurtier, L'età dei sogni, Gallucci
・Lynda Mullaly Hunt(リンダ・マラリー・ハント),
 Una per i Murphy, Uovonero
・Raffaella Romagnolo(ラッファエッラ・ロマニョーロ),
 Respira con me, Pelledoca Editore
・Rebecca Stead(レベッカ・ステッド),
 L'amore sconosciuto, Terre di Mezzo
・Florence Thinard, Meno male che il tempo era bello, Camelozampa

受賞作は来年のボローニャ国際児童図書見本市で発表されます。



a_yshtm at 09:25|PermalinkComments(0)

2019年08月25日

2020年国際アンデルセン賞作家賞ーノミネート作家について


先日の記事(こちら)にも書きましたように
2020年国際アンデルセン賞作家賞に
イタリアの作家ロベルト・ピウミーニが
ノミネートされています。

ロベルト・ピウミーニと言えば、
現代イタリア児童文学を代表する作家で、
イタリアでは大御所と言ってもいいくらいの存在です。
多くの作品が日本語に翻訳されているので
ご存知の方もたくさんいらっしゃると思います。

さて、そんなピウミーニは1947年に
北イタリアのエードロという町に生まれました。
ミラノ大学で教育学を勉強したあと、
先生になります。俳優もしていたそうです。

1978年に初めての子ども向けの短編集
Il giovane che entrava nel palazzo
(建物のなかに入っていった若者)
を出版し
翌年、チェント賞を受賞します。
次に出したStorie dell'orizzonte水平線の物語)
1983年度のイタリア・アンデルセン賞を受賞します。
(2作は長野徹さんが 『キスの運び屋』(PHP)、
 『逃げてゆく水平線』(東宣出版)として翻訳しています)

作品の多くは子ども向けですが、大人向けにも書いています。
読み物や小説だけではなく、歌やシナリオも書いていますし、
翻訳、古典を現代語に書き直すこともしていて、
非常に幅広く活躍しています。

全く関係のない2つの言葉を結びつけることで
生まれる意外性から物語を発展させるという手法を
ジャンニ・ロダーリは『ファンタジーの文法』で
説いていますが、ピウミーニのお話のつくり方には
その手法を応用させている様子がうかがえます。

ところで、イタリアにはフィラストロッカと呼ばれ、
日本語では「わらべ歌」と訳されているものがあります。
韻を踏んだ短い詩で、節をつけて大人が子どもに、
あるいは子ども自身が読んだり暗唱したりするものです。
ユーモアのあるものが多く、押韻していますので
音の響きも楽しむことができます。

ジャンニ・ロダーリはこのフィラストロッカを
得意としましたが、ピウミーニも数多く書いています。
そのため、イタリアでは「言葉の魔術師」とも言われています。

キスの運び屋
ロベルト ピウミーニ
PHP研究所
2005-12






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