Elisa Puricelli Guerra『L'equazione impossibile del destino』藤本英二『人気のひみつ、魅力のありか―21世紀こども文学論―』(久山社)

2019年09月21日

Giuseppe Catozella『Non dirmi che hai paura』

(以下は2016年2月12日にはてなブログにアップした記事です。
 はてなの記事をこちらに移しています)


Non dirmi che hai paura
Giuseppe Catozzella
Emons Edizioni
2015-06-30


(写真はオーディオブックのものですが
 下の帯以外は書籍と同じなので載せておきます)

著者:ジュゼッペ・カトッツエッラ
仮タイトル:怖いって言うな
出版社:Feltrinelli

サミアが生まれた時からソマリアでは戦争があった。
氏族同士の争いからやがて
イスラム過激派が人々を支配するようになった。
そんな中でも走るのが好きなサミアは
年に一度開かれる地域のマラソン大会で
優勝することを目指して幼馴染のアリと走っていた。

そして、8歳の時サミアは地域のマラソン大会で優勝する。
次の目標はさらに大きな大会で優勝すること。
サミアは走り続け、家族はそんな彼女を応援する。
小さな女戦士と言って。

アリ一家が迫害を逃れてどこかへ行ってしまい、
父が過激派に殺されとつらいことがサミアに襲いかかるが
サミアはオリンピックの200m走で金メダルを取る夢を諦めない。

7歳の時、ソマリアのオリンピック委員会から声がかかり、
北京オリンピックで走ることになる。初めての飛行機、
初めてのパスポート、初めての海外。
憧れの選手と一緒にサミアは走る。
自分の持てるすべてをかけて。

結果は彼女が望むようなものではなかったが、
彼女の姿はイスラムの女性を勇気づけるものだった。
次のサミアの目標はロンドンオリンピックだったが、
祖国では過激派の締め付けが厳しくなり、
練習にも支障をきたすようになる。

アリが過激派のグループに入り、
父親殺害の手引きをしたことを知ったサミアは
ソマリアにいても意味がないと考えるようになる。
より良い練習環境を求めてエチオピアへ逃げる。
ところがエチオピアでは難民ということで
十分な練習ができない。
そこで、ヨーロッパへ行くことを決意する。

自分が何者であるかということさえ
二の次になってしまうような過酷な旅を乗り越えて
イタリアへ向かうサミア。イタリア到着を目前にして
サミアは海でおぼれて亡くなってしまう。

過酷な状況に負けずに走り続けた少女の一生を描いた作品。
2014年度ストレーガ・ジョーヴァニ賞受賞作品。
同年度のストレーガ賞ファイナリストにもなった作品。
9刷、70,000部とのこと。
英語、フランス語にも翻訳されている。

追記)

読者対象:中学生以上
キーワード:マラソン、内戦、夢、難民



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Elisa Puricelli Guerra『L'equazione impossibile del destino』藤本英二『人気のひみつ、魅力のありか―21世紀こども文学論―』(久山社)