Riccardo Francaviglia, Margherita Sgarlata『Colapesce』Davide Morosinotto『Il rinomato catalogo Walker & Dawn』

2018年04月08日

ブルーノ・ムナーリ展

神奈川県立近代美術館葉山館で昨日から開催されている
「ブルーノ・ムナーリ 
 こどもの心をもちつづけるということ」展に行ってきました。
展覧会の詳しい情報はこちらから

わたしにとって、ブルーノ・ムナーリ(1907-1998)は、
ジャンニ・ロダーリの本に
イラストを描いた人というところから始まり、
「しろずきんちゃん」などのユニークな絵本を書いた人、
子どもの想像力・創造力を刺激するワークショップを
開催するといった、子どもの教育に関わった人、
ユニークな発想でスウォッチの時計をデザインしたり
フォークの歯を曲げて手みたいにしたりした人でした。
(これだけでも、いかに多岐にわたる活動をしていたか
 ため息が出ます)

美術展ではムナーリの初期の作品から始まって
インダストリアルデザイナーとしての作品、
絵本作家としての作品などが展示され、
彼の活動、考えの全体像を
捉えることができるようになっています。

が、個人的には、画家としての作品、
雑誌や広告のデザイナーとしての作品も
見れたことが収穫でした。
改めて彼の活動の幅の広さを感じることができましたし、
こういう出発点を持っていたのかと知ることができました。

初期の作品である「軽やかな機械」、
「役に立たない機械」がいくつか展示されていました。
(説明によると、モビールの先駆けなのだとか)
厳密な計算に基づいてカットされ、色をつけられ、
つなげられた部品がひとつの機械となって
展示室の空気の流れを受けてゆっくりと動く様子は
見ていて飽きませんでした。

そばにゆっくり座れる椅子があって
首の痛さを感じずに見られる状態であれば
わたしは時間を忘れて見続けていたと思います。

また、ロダーリの作品をエイナウディ社から
出すことになったきっかけはムナーリだったことを知りました。
(いつか別記事に詳しく改めますが、1950年代のロダーリの作品は
 左派系の出版社から出ていたことから、読者が限られていました。
 1960年代になってエイナイディ社から出たことで
 彼の名前が全国的に知られるようになりました)

午後はオープニング・トークということで
ご子息で、ジュネーヴ大学名誉教授の
アルベルト・ムナーリさんの講演を聞きました。
お父さんのブルーノさんは、
素材との対話を大切にしていらしたということ、
「ほかのやり方はないだろうか?」と
常に問いかけていらしたということ、
結果よりも過程を大切いていて、
どいういう作品にするかという明確な考えを
持った上で創作していたのではなく、
さまざまな実験を繰り返す中で
作品が出来上がって行ったということなどをお話くださいました。
(メモと記憶を頼りに書いているので、
 言葉通りではありませんし、おっしゃられたことと
 少し違うように受け取っているかもしれませんが)

ムナーリが緻密に創作していることが
今回の展示で分かりました。
そう思って考えてみると、確かにそうだと
うなづける作品が頭に浮かぶのですが、
ロダーリの作品に寄せたイラストの印象が強く、
とても自由に勢いよく描く人と思っていたので
そうではないのだと、考えが変わりました。

とても見応えのある展覧会ですので、
興味のある方、迷っている方、ぜひ足を運んでみてください。
きっと楽しめると思います。



a_yshtm at 12:37│Comments(0)●ひとりごと 

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Riccardo Francaviglia, Margherita Sgarlata『Colapesce』Davide Morosinotto『Il rinomato catalogo Walker & Dawn』