エミリオ・サルガーリ2(追記あり)ブルーノ・ムナーリ展

2018年04月05日

Riccardo Francaviglia, Margherita Sgarlata『Colapesce』



 著者:リッカルド・フランカヴィッリア、
    マルゲリータ・スガルラータ
タイトル:コラペッシェ
出版社:Splen edizioni
初版:2015年

リッカルド・フランカヴィッリアが文を書き、
マルゲリータ・スガルラータとともにイラストを描いた1冊。
CD付きで、音楽はラウラ・フランカヴィッリア。

内容はというと、シチリアが舞台になっています。

漁師の父を亡くした少年ニコラは
海は大好きだが、陸にいる方が好きだった。
ところが、ある日、暑さにまいったニコラは
砂浜を散歩しながら波とたわむれているうちに
水の中に入り、気がつけば泳いでいた。

以来、水に入るのが好きになり、
暇さえあれば海に潜っていた。
「あいつは水の中でも息ができるのだ」と
地域の人々に言われるくらいだった。

噂を聞いた王様がニコラの泳ぎっぷりを
試したくなり、ニコラのいるところへやって来た。
海に何があるかと問われたニコラは
三本の柱がシチリアを支えていると言い、
海中には山があって、火があると答える。

海に火なんてあるはずがないと疑った王は
ニコラに一本の棒を与え、
これに火をつけて持ってこいと言いつけた。
言いつけ通りニコラは海に潜ったが
戻ってくることはなかった。

だが、ニコラは死んだのではない。
シチリアを支える柱が倒れないよう支えているのだ。

コラペッシェは、主人公の名前ニコラと
魚を表すペッシェ(pesce)がつながったもの。

このお話はシチリアに伝わる伝説が元になっている。
イタロ・カルヴィーノの『イタリア民話集』(岩波文庫)の
下巻に、「人魚コーラ」という民話が入っている。
本書と似ているところもあるので、
あまた伝わるバリエーションの一つというところだろうか。

絵は、嵐で荒れる海や陸の家、人々は
はっきりした輪郭で描かれているのに対して、
海の中や海に住む生き物ははっきりした輪郭なしに
優しい色合いで描かれているところが
海中がニコラにとって居心地の良い世界であることを
示しているようだ。

こちらでイラストと音楽の一部を視聴することができます。

本書は2017年度イタリア・アンデルセン賞
6~9歳の本部門で最終候補に選ばれました。

読者対象:小学校低学年
キーワード:海、伝説



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