2016年11月

2016年11月29日

カルロ・コッローディ4


母方のおばの家から小学校に通ったカルロは小学校を終えると、
シエナ近郊のコッレ・ディ・ヴァルデルサにある
寄宿制の神学校に進みます。 
1837年、11歳の時のことでした。

将来は神職に就かせようと大人たちは考えていたのですが、
神学校が合わなかったようで、カルロは1842年に退学して
フィレンツェに戻ってきます。
勉強した科目の中でラテン語、音楽、声楽をよく学んだそうです。

その後、おじの支援を得てフィレンツェのスコローピ修道会の
修辞学と哲学のコースで勉強を続けます。

1843年、文学者たちのたまり場だった
ピアッティ書店で働きはじめます。
新刊書のカタログを書くのがカルロの仕事でした。
当時の書店は、書籍を販売するだけではなく、
書籍を作るところでもありました。
その為、文学者や哲学者など本の書き手たちが
原稿を手に書店に出入りしていたのです。
ここでカルロは文学的、政治的に大きな刺激を受けます。

そして1847年21歳の時に週刊紙「音楽イタリア」に
「ハープ」と題した記事を発表します。
ジャーナリスト・コッローディの誕生です。

参考文献:
Pino Boero, Carmine De Luca,
La lettratura per l'infanzia, Editori Laterza, Bari, 2009
Rossana Dedola,
Pinocchio e Collodi, Mondadori, Milano, 2002
a cura di Daniela Marcheschi,
Carlo Collodi Opere, Meridiani Mondadori, Milano, 1995 


2016年11月19日

お知らせ1

 
11月5日に国立国会図書館国際子ども図書館さんで
日本ペンクラブさんとの共催による
「いま、イタリアの子どもの本は?」という講演会が催され、
イタリアの児童文学の歴史と、
現在のイタリア児童文学の状況について
お話させていただきました。

そのことを機関誌「読書推進運動」で取り上げていただきました。
ありがとうございます。

http://www.dokusyo.or.jp/kikanshi/pdf/no588.pdf

上の記事にもありますが、国際子ども図書館さんでは
展示「こんにちは!イタリア
-子どもの本のファンタジスタたち-」が
12月25日まで見られます。

http://www.kodomo.go.jp/event/exhibition/tenji2016-03.html

それぞれの作品に日本語の仮タイトルが添えられていたり
イタリアの児童文学を取り巻く状況(図書館や文学賞など)に
ついての説明があったりで、イタリア語が分からなくても楽しめ、
イラストを見るだけではない、充実した展示になっています。

個人的には作家たちの出身地を
一目で分かるようにした地図が面白かったです。



a_yshtm at 17:53|PermalinkComments(0)● お知らせ 

2016年11月18日

カルロ・コッローディ3


ピノッキオを生んだカルロ・コッローディは
フィレンツェ貴族に使える両親の元に生まれました。

カルロに続いて次から次に弟や妹が生まれました。
ところが弟や妹たちは相次いで病気で亡くなり、
残ったのは弟2人と妹1人でした。

生まれたばかりの子どもの世話と、
子どもを亡くした悲しみとで、
母親は幼いカルロの面倒を
十分に見ることができなくなったため
カルロを実家に預けます。

おばの家からカルロは小学校に通います。
幼いカルロはいたずらっ子だったようで、
隣の席の子にちょっかいを出しては泣かしてしまい
先生からどんどん教室の後ろの方の席へ移され、
最後には一番後ろの隣には誰もいない席に
座らされたとか。

ある日、窓にかかっているカーテンに
穴が開いているのを見つけたカルロは
先生の目を盗んで穴に無理やり顔を突っ込みます。
緑のカーテンから顔だけ出したカルロを見て
クラスメイトたちが大笑いします。
先生に見つかって、カルロは穴から
顔を抜こうとしますが抜けません。

泣き出したカルロを見て、先生は
カルロの顔を拭いてやるよう言います。
クラスメイトたちは笑いながらポケットから
ハンカチを出してカルロの涙を拭いてくれました。
ところが、そのハンカチというのは
洗濯などしてもらった様子のないハンカチで
以来、カルロは行いを改めたそうです。

このエピソードは"
Storie allegre(未邦訳・陽気なお話)"に
収められています。

参考文献:
Pino Boero, Carmine De Luca,
La lettratura per l'infanzia, Editori Laterza, Bari, 2009
Rossana Dedola,
Pinocchio e Collodi, Mondadori, Milano, 2002
a cura di Daniela Marcheschi,
Carlo Collodi Opere, Meridiani Mondadori, Milano, 1995